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Channel: kurooの窓
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鹿煮の取材

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 1月26日(木)氷柱で有名な大滝の三十槌(みそつち)に「鹿煮」の取材に行った。取材したのは磯田守弘さん(72歳)だった。守弘さんは長く大滝村の助役をやり、その後は町会長を三期六年務めた人だ。趣味は狩猟で、猟師歴は53年にもなる。
 前回取材した時にスケルトン(頭部骨格標本)の作り方を聞いた。今回は鹿肉をおいしく食べる方法を取材した。守弘さんは長く狩猟をやって来たので、様々な食べ方を工夫してきた。その中で、この食べ方が一番飽きなくて多くの人に喜ばれる食べ方だという。
 
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 前回の取材時にこの「鹿煮」を頂いて、その旨さに驚かされ、再度の取材を申し込んだものだった。とにかくクセがなく、柔らかく旨い鹿煮で、他の料理にも使えるという優れものだ。
作り方を取材して、多くの漁師さんが悩んでいる鹿肉消費に少しでも貢献できればと思ったのがきっかけだった。鹿肉はおいしい部位が限られているし、食べ方も限られているというのが今までの印象だった。しかし、この方法で調理すれば、様々な料理に転用できる広がりを持つ。新しい鹿肉料理につながる可能性が大きい調理法だ。とても楽しみにしていた取材だった。
 
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 解体した鹿肉。部位は肩肉、足肉、筋肉など刺身やたたきで食べない部位を4時間煮込むという単純な調理だ。しかし、解体時に手を抜くとおいしい鹿煮にはならない。守弘さんがその手順を解説してくれた。猟師ならではの技が駆使されていて興味深い話だった。詳しくは本文に書くとして煮る場面から取材が始まった。
 自宅裏の薪ストーブはグラグラと大鍋の鹿肉を煮立たせる。横のヤカンでは湯が沸いていて、煮汁が少なくなると熱湯をいつでも足せる状態になっている。これで4時間煮る。最初のアク取りが大変で、それを怠ると味が悪くなる。アクが出なくなったら大量の生姜とニンニクを入れて煮る。ショウガが入ると急に食べ物らしい香りになるのが面白い。
 
 昼には奥さんが手打ちうどんを作ってくれた。牛蒡の天ぷらが旨い。「地の牛蒡だから香りが違うでしょ」と奥さん。パクパクとお代わりしてしまった。
 守弘さんの話がとにかく面白い。文に書けないような話ばかりなので困ってしまった。
 
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 煮込むにつれてニンニクは溶け、ショウガも飴色になる。鹿肉はホロホロと軟らかくなる。4時間煮て少し休ませて味付けをする。みりんをお玉三杯、醤油を一杯。これだけが味付けだからとても薄味の鹿煮になる。冷めたら出来上がりだ。薄味で柔らかい鹿肉はどんな料理にしてもおいしい。もちろん、このまま食べてもおいしい。
 巨大なタッパー二個にいっぱいの鹿煮を頂いた。近所や知り合いに配って食べてもらおうと思う。まだ雪が残って寒い大滝だったが、温かい鹿肉は最高のお土産になった。
 
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