1月15日、秩父の冬を飾る観光地、尾ノ内氷柱を取材した。取材したのは尾ノ内氷柱実行委員会の会長である北孝行さん(74歳)だった。土日は観光客の対応が忙しいので、平日の午前中ならということでこの日の取材が実現した。北さんは9年前に商工会青年部の相馬さん他5・6名で始めた冬の観光地作りをバックアップすることで大きく育ててきた。
商工会青年部が始めた行動は集落を団結させ、自分達の力だけで大きな観光地に育て上げた。5年前からは大きな集客力を見過ごせなくなった町の観光課もバックアップを始めた。地元の人間による地域振興の好例として多くの自治体が視察に来るようになった。
また、北さんは「芦ヶ久保氷柱」の開発も協力して、氷作りを指導している。同地域の久月(ひさつき)にも氷柱が作られることになったのも、尾ノ内氷柱の成功を見たからだった。
尾ノ内氷柱のすばらしいところは、冬の氷柱だけで終わらないところだ。4月から10月迄「よってがっせー委員会」の活動が毎週末に開催されており、氷柱以外のリピーターも多い。地域のみんながなんらかの活動を分担している訳で、地域全体が盛り上げていることがすばらしい。野菜作りや施設の工事、修繕などなどもみんなでやっている。地域興しは地域の人々が元気になるのが一番だと思うが、ここではそれが普通に行われている。
地元の女性達が作る料理も様々に種類を変えて提供されている。この日も女衆が作った料理が窓口に並んでいた。無料サービスの甘酒を飲みながら少しずつつまんで食べる。窓口を通して笑顔とおしゃべりが交流する。温かいもてなしを見ていると、リピーターが多くなるのもよくわかる。
北さんはそんな活動を会長として引っ張って来た。強力な仲間も多い。この日は高橋美正さんと柴崎照夫さんが話に加わってくれ、いろいろな話を聞くことができた。多くの人と会話して、笑顔で帰ってもらうこと。そしてその人達とまた別の日に笑顔で会えることが醍醐味だと話してくれた。地域活性化の手本のような人達だった。