ホームページの山里の記憶コーナーに「味噌汁」をアップした。
この取材で驚かされたのは、しげさんが98歳という年齢にかかわらず、普通に生活している姿だった。元気に長生きするというのは誰しも思い願うことだが、誰にでも出来る事ではない。本当に、願わくばこうありたいと思う人生だ。
98歳でいまだに現役で、味噌を作り、梅干しを作り、新聞を読み、俳句を作り、書を書く。そして、どこも悪くないと医者が太鼓判を押す健康体。なんという人生だろうか……。全ての人の希望となる人生。すばらしいことだ。
「粗食と運動が長生きの秘訣だね…」という言葉が聞かれた。また、「あたしの体は味噌で出来てるんだぃね…」と冗談めかして話してくれた。
大量の味噌を作り、それを食べて生きる。日々の暮らしの中に自然に自分の味噌が浸透している。そんな自然体の暮らしが素晴らしい。
やさしい味の味噌汁は煮干しで出汁を取る。薄味で何杯でも食べられる味噌汁だった。同時に作ってくれたカボチャの煮物もホクホクと美味しかった。
山里の記憶を取材していると、お店で売られていない美味に巡り会うことが多い。昔ながらの味がそれぞれの家に伝えられ、守られているからだ。そんな味に出会う事が楽しみの一つでもある。なんだかすごく贅沢な事をしているように思う事がある。
取材をし、絵を描く。それぞれに大変な作業ではあるのだが、発見の喜びや美味しさとの巡り会いがそれを上回る。