ホームページの山里の記憶コーナーに「植木職人」をアップした。
取材の日はとても暑い日だった。炎天下で一日中脚立の上で作業するなんて無謀にも思えるのだが、好房さんは83歳という年齢を感じさせず、淡々と作業していた。雨が降ると脚立が滑るので休みになる。雨の日以外はずっとやっている。
山里の民家は庭が広い家が多い。そしてかならず植木がある。この手入れは専門の人がやらないと壊れてしまう。枯れたり藪になったりと手入れの有無はすぐ目に付く。
家に人を呼ぶ機会などに好房さんが呼ばれて、庭木の手入れを任せられる。83歳という高齢だが「頼まれると、断れないんだぃね…」と今でも知り合いの家を回る。
大変な仕事だ。しかし、「この仕事をやってるから体の調子がいいんだぃね」という言葉に救われた。自分を必要としてくれる人がいて、自分にしか出来ない仕事がある。やりがいは体も心も若く保つ秘訣なんだと実感した。
今後の超高齢化社会では、こんな生き方が指針になるのではないか……ふと、そんな考えが頭に浮かんだ。充実した幸せな人生だと思う。
いつまでもという訳にはいかないかもしれないが、出来る限り、体の動く限り庭木の手入れを続けて欲しいと思う。最後まで植木職人でいて欲しいと思う。
きっと好房さんの仕事ぶりを見て、勇気をもらっている人がいるはずだ。