10月23日両神の滝前に「樹皮細工」の絵を届けに行った。
途中の「車両通行止め」の看板を横目に見て奥に進むので運転も緊張した。工事用の大きなダンプカーともすれ違い、崩れている場所を避けながら進む。ブルーシートがかけられた崩落場所もあった。作業員が寄ってきて「奥にはいけませんよ!」と言うが「山中さんの家までですから」と言って先に進ませてもらう。
昨日の大雨で滝前に行く途中でも至る所で沢から水が噴き出していて怖いようだった。川は大増水していたが、台風19号の時はもっともっとすごかったはずだ。台風の爪痕を見に行くような事になってしまったが山中さんの家まではいけるはずだった。
山中さんの家がある滝前地区は台風19号の際に道路が崩落して通行止めになっていた。絵を届けた山中正彦さんの家の上流百メートルの場所で道路が四十メートルほど崩落して工事中だった。大きな重機が巨大な土嚢を釣り上げて河原を造っているところで、まだ開通のめどは立っていない。
工事の様子を見たのだが、大規模な崩落で、どれだけすごい雨と濁流だったかがわかった。
正彦さんは絵をとても喜んでくれた。「天気がいいから外で・・」と、外でお茶を飲みながら色々な話をした。「埼玉民俗の会」の会員でもある正彦さんの知識と技術は生活に即したもので「山村民具と自然素材」というテーマで機関誌に論文発表している。まさに山里の記憶が求める「技」の世界で、勉強になる事ばかりだった。これをまとめて絵に出来たらすごい本が出来そうだ。山里の記憶の延長上にある世界が少し見えた気がした。