6月14日、上吉田石間・沢口耕地の新井朝子さん(92歳)を訪ね、きゅうちゃん漬けの取材をした。知人から朝子さんを紹介され、伺って、お茶を頂きながら四方山話をしていた。その時に出されたお茶請けのきゅうり漬けがパリパリと歯ごたえも良く、味も良かったので聞いたら、朝子さんが作ったものだった。ちょうどこれから在庫用に作るところだと聞いてすぐに取材を申し込み、さっそく取材になったという次第。
きゅうちゃん漬けと呼んでいたのでそのままの呼び名にする。三キロものキュウリを7ミリ厚の小口切りにするとボウル一杯になる。大きな鍋に調味料を入れる。醤油3合、酢1合、砂糖400グラムを煮立たせ、火を止めてその中にキュウリを入れる。中蓋をして蓋をし、冷めるまでそのままにする。
冷めたら小さな鍋に煮汁だけ取り出し、コンロで火に掛けて煮立たせる。煮立った汁を鍋のキュウリに注ぎ、中蓋・重石をしてまた冷めるのを待つ。この作業を5回繰り返す。冷めるのを待つのに時間がかかるので、出来上がるまでに相当な時間がかかる。
朝子さんのきゅうちゃん漬けはパリパリと食感がいい。その訳はキュウリを煮込まないことだった。煮汁を掛けて冷める間に味が浸み込む。それを繰り返すことでパリパリした食感が残った漬物になる。なるほどなあ…と作り方を見ていて納得した。
待ち時間が多いからその間に昔話をゆっくり聞くことができた。これも楽しい時間だった。詳細は作品の文章にするとして、こうして92歳でまだ現役のおばあちゃんと話が出来るのは本当に楽しい。人生そのものが歴史で、ドラマで、時代そのものだ。じつに楽しい。
出来上がったきゅうちゃん漬けをお土産に頂いて、もう一つの目的地に向かう。同じ吉田地区・井上耕地の荻原茂一さんに「昔の道具たち」の絵とファイルを届けた。予定よりもだいぶ遅くなってしまったので、茂一さんは出かけていて留守だった。娘さん夫妻が家にいたので、娘のヒロ子さんに絵を渡した。夫婦で絵をとても喜んでくれ、たくさんのお土産を頂いてしまった。本当にありがたいことだ。