10月4日、若冲の絵を見に箱根に行ってきた。
場所は箱根の岡田美術館。上野の美術館で44万人の来場者を集めたという83年ぶりに再発見された「孔雀鳳凰図」を見るのが目的だった。
前夜は某ホテルの訳あり半額プランというコースで夕飯なしの温泉を楽しみ、朝一番で岡田美術館に入った。目的の絵は二階の奥に展示されていた。
朝早かったので人も少なく、二時間ほどじっくりと見ることが出来た。絵を描く身として、どう描いているかを見るには実物を見るしかない。ガラスに顔を押しつけるようにしてガン見した。隅から隅までじっくり見た。そして…、ため息をついた。
これはもう人間業ではない。線の起筆・終筆の正確さ。大きさが正確に揃った点描。鳥の羽根に見る配色の見事さと線の正確さ。松の葉の勢いと折り重なり具合の見事さ。牡丹や桐の葉のリアルさ。どこを見ても手抜きした描写はない。本当に人間業とは思えない。出るのはため息ばかりだった。
丸三時間、美術館にいたのだが、おそろしく疲れた。絵を見るのは本当に疲れる。でも、見て良かった。本物を自分の目で見ることが、どんな情報や映像を見るよりもよく理解出来る。
蕪村の絵も展示されていたのだが、それをじっくり見る気力はもうなかった。
午後は箱根神社に参拝。「山里の記憶」の本を作る前に必ずおこなっている恒例の参拝で、これで4回目の参拝となる。絵の神様の窓口だと思っているので、真剣に参拝してきた。
境内は相変わらず中国人の参拝者が多かった。心なし以前よりもマナーが良くなっているように感じたが、気のせいだろうか。
乙女峠を越えて富士山の見えるドライブインで休憩。ここからの富士山は本当にきれいだ。しかし、このドライブインも客の大半は大型バスの中国人観光客だった。
箱根は人気観光地だから仕方ないのだろうなと思いながら高速で帰路に着いた。