ホームページの山里の記憶コーナーに「竹縄」をアップした。
竹縄はたかなわと読むことも知らなかったし、東秩父村でだけ作られていた事も知らなかった。まして、今でも作れる人がいるなんて知りもしなかった。
だいぶ前の事だが、秩父の小林茂先生のご自宅で本の資料整理をされている時に伺った事があった。その時に「これが竹縄を作っている写真だよ」と見せてもらい、驚いた事が忘れられない。当時でも珍しい写真だったはずだし、その時にはすでに技術は絶えてしまったと聞いた。今でも作っている人がいるとは思ってもいなかった。今回、小川町の高田さんのご協力で竹縄作りの取材が出来たのも不思議な事だった。
竹縄作りの工程を詳細に記録した東秩父村教育委員会の資料と若林さん横澤さんの話から竹縄作りを絵にしてみた。およそこの通りに作られていたのだと思うが、実際にやってみないとわからない事が多い。機会があったら是非一回通して体験してみたいものだと思う。
油抜きの焼き加減、へぎ作りの難しさ、節をウスバで削る力加減、よりをくれる機械の力加減、こすりの磨き加減などなど、様々な技が駆使されて製品としての竹縄が出来上がった。
しかし、わからない事も多い。なぜ東秩父村の限られた地域だけで竹縄が作られていたのか? 竹縄はどこまでどう運ばれたのか? 全国的な制作範囲はどうだったのか?
すでに消えてしまった物や技術は多い。竹縄もそうなるはずだったが、東秩父村の努力と若林さんたち保存会の皆さんの努力でこうして残された。
出来上がった竹縄を触ってみたとき、これは何か他の用途があるのではないか…、という考えが頭をよぎった。そのしなやかさと美しさはまるで工芸品のようでもあった。
水に浸せば柔らかくなり、乾けば強度抜群の結束力を持つ。磨けば艶々に光る。何か出来そうなのだが、それが何かはまだわからない。とにかく一度竹縄作りを体験してみたい。